監督・脚本・製作・音楽

ハル・ハートリー

1959年、ニューヨーク州リンデンハースト生まれ。ニューヨーク州立大学パーチェス校で映画製作を専攻し、いくつかの短編を手がけた後、『アンビリーバブル・トゥルース』(1989)で長編デビューを果たす。続く『トラスト・ミー』(1990)、『シンプルメン』(1992)で人気を確立し、実験的な短編オムニバス『FLRIT/フラート』(1995)では東京でも撮影。永瀬正敏や松重豊が出演したほか、主演を務めた二階堂美穂とは後に結婚した。『ヘンリー・フール』(1997)ではカンヌ国際映画祭脚本賞を受賞した。自身の監督作の脚本とプロデュースだけでなく、音楽を手がけていることでも知られており、初期作品では「ネッド・ライフル」というミュージシャン名を名乗っていた。戯曲『SOON』(1998)やオペラ『La Commedia』(2008)など舞台作品も手がけている。2000年以降、日本での劇場公開が途絶えたが、2014年にリバイバル特集されたことをきっかけに、若い世代からも注目を集めている。


■キャスト■

エイドリアン・シェリー

Adrienne Shelly

『アンビリーバブル・トゥルース』オードリー役

『トラスト・ミー』マリア役

1967年、クイーンズ生まれ。ハートリーの長編第一作『アンビリーバブル・トゥルース』(1989)のヒロイン、オードリー役で映画デビュー。続く『トラスト・ミー』(1990)でも主人公マリアを演じ、ハートリー作品を象徴する存在となる。劇作や映画監督業にも進出し、監督・脚本・出演を兼ねた『ウェイトレス~おいしい人生のつくり方』(2007)は日本でも劇場公開され、後にブロードウェイミュージカル化された。しかし同作公開前の2006年11月1日に19歳の作業員に殺害された。享年40歳。

ロバート・ジョン・バーク

Robert John Burke

『アンビリーバブル・トゥルース』ジョシュ役

『シンプルメン』ビル役

1960年、NY生まれ。NY州立大学パーチェス校でハートリーと知り合い『アンビリーバブル・トゥルース』(1989)に主演、注目を集める。当時は消防士や大工をしていた。『シンプルメン』(1992)に主演した後『ロボコップ3』(1993)の主演に抜擢された。『FLIRT/フラート』(1995)では端役を演じ、ハートリーの『No Such Thing(原題)』(2001)で再び主演。『ネッド・ライフル』(2014)では大工の役でチラリと顔を出し、マーティン・ドノヴァンら旧知のハートリー組と再共演を果たした。

マーティン・ドノヴァン

Martin Donovan

『トラスト・ミー』マシュー役

『シンプルメン』マーティン役

1957年、カリフォルニア州レセダ生まれ。1983年にNYに移りオフブロードウェイのクカラチャ劇団に参加。ハートリーの『トラスト・ミー』(1990)で映画初主演。短編「サバイビング・デザイアー」(1991)を経て『シンプルメン』にも出演し、伝説的なダンスシーンに参加する。『愛・アマチュア』(1994)ではイザベル・ユペールと共演。『ブック・オブ・ライフ』(1998)では黙示録を実行すべきか悩むイエス・キリストを演じた。『ネッド・ライフル』(2014)で久々にハートリー作品に復帰している。


ビル・セイジ

Bill Sage

『アンビリーバブル・トゥルース』ガス役

『トラスト・ミー』ジョン・ビル役

『シンプルメン』デニス役

1962年、NY生まれ。NY州立大学パーチェス校出身者で、『アンビリーバブル・トゥルース』(1989)と『トラスト・ミー』(1990)のチョイ役、短編「セオリー・オブ・アチーブメント」を経て『シンプルメン』(1992)のデニス役で主演した。『FLIRT/フラート』(1995)、『No Such Thing』(2001)、『The Girl from Monday』(2005)、『ネッド・ライフル』(2014)とハートリー作品のほとんどに参加している。

カレン・サイラス

Karen Silas

『トラスト・ミー』ペイン看護師役

 『シンプルメン』ケイト役

1963年、ブルックリン生まれ。ニューヨーク州立大学パーチェス校で演技を学び、ハートリーの初期短編に出演。『トラスト・ミー』(1990)の看護師役に続いて『シンプルメン』(1992)では主人公のひとりケイトを演じる。1994年に刑事ドラマ「Under Suspicion(原題)」に主演し高い評価を得る。ハートリー作品では『FLIRT/フラート』(1995)で再び看護師役。2014年の『ネッド・ライフル』にも参加している。俳優のピーター・ストーメアは元夫。

エリナ・レーヴェンソン

Elina Löwensohn

『シンプルメン』エリナ役

1966年、ルーマニア生まれ。14歳の時に政治難民としてアメリカに移住。ハートリーの短編「セオリー・オブ・アチーブメント」(1991)で女優デビュー。『シンプルメン』でエリナ役を演じ、有名なダンスシーンの振付も手がけた。以降『愛・アマチュア』(1994)、舞台劇『Soon』(1998)、『フェイ・グリム』(2006)などハートリー作品の常連として活躍。現在はパリ在住でヨーロッパの作品が多く、2018年に入って『エンジェル 見えない恋人』(2016)など出演作が立て続けに日本公開されている。


イーディ・ファルコ

Edie Falco

『アンビリーバブル・トゥルース』ウェイトレス役

『トラスト・ミー』ペグ役

1963年、ブルックリン生まれ。大ヒットドラマ「ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア」のカーメラ役で有名。ハートリーと同じNY州立大学パーチェス校出身で、ハートリーの初長編『アンビリーバブル・トゥルース』(1989)に続き、『トラスト・ミー』(1990)でマリアの姉ペグを演じた。『The Girl from Monday(原題)』(2005、日本未公開)では15年ぶりにハートリー作品に参加した。

メリット(レベッカ)・ネルソン

Merritt(Rebecca) Nelson

『トラスト・ミー』ジーン役

ベテランの舞台女優であり、映画やテレビ業界でも活躍。『トラスト・ミー』の母親役で強烈な印象を残す。短編『サバイビング・デザイアー』(1992)でも狂女すれすれの怪演を披露した。『ヘンリー・フール』でも航空会社の職員役でチラリと顔を見せている。カリフォルニア大学バークレー校やイエール大学で演技を学び、ハーバード大学、イエール大学、ニューヨーク州立大学などで演技のインストラクターを務めたこともある。

クリス・クック

Chris Cook
『アンビリーバブル・トゥルース』ヴィック役

『トラスト・ミー』ダイナーの店主役

『シンプルメン』ヴィック役

ロング・アイランド映画祭の創設者で、長らくNY州サフォーク群のフィルムコミッショナーを務め、数々の映画作家をバックアップした。《ロング・アイランド・トリロジー》の全作に出演。特に『アンビリーバブル・トゥルース』のオードリーの父親と『シンプルメン』の自動車修理工は名前も職業も同じで、ほぼ同一人物。2013年に亡くなっている。


ゲイリー・サウアー

Gary Sauer

『アンビリーバブル・トゥルース』エメット役

『トラスト・ミー』アンソニー役

NY州立大学パーチェス校ではイーディ・ファルコと同級生だった。ハートリーの初期短編に出演した後、『アンビリーバブル・トゥルース』『トラスト・ミー』でエイドリアン・シェリー演じるヒロインの元カレを演じた。短編『サバイビング・デザイアー』(1992)にも出演。

マーク・チャンドラー・ベイリー

Mark Chandler Bailey
『アンビリーバブル・トゥルース』マイク役

『シンプルメン』マイク役

NY州立大学パーチェス校の出身者で、俳優、声優、脚本家、プロデューサーなど多岐に渡って活動。ハートリー作品では『アンビリーバブル・トゥルース』と『シンプルメン』で、クリス・クック演じるヴィックの下で働くギター好きの修理工を二度に渡って演じた。

ジュリア・マクニール

Julia McNeal

『アンビリーバブル・トゥルース』パール役

 1961年、ニュージャージー生まれ。j女優業と並行して、出版の編集者としても活動。小説も執筆している。『アンビリーバブル・トゥルース』のパール役を演じ、NYのクカラチャ劇団の舞台に出演した縁で、マーティン・ドノヴァンとハートリーを引き合わせた。現在はサンフランシスコを拠点にしている。